相続した大切な物件を所持している中で、「愛着があるので手放したくないが、空き家状態での維持管理費の負担が大きい」といったお悩みを抱えてはいませんか?
特に、ご両親から受け継いだご実家家など「思い出があるため売却はしたくない」という物件の活用方法に悩まれるオーナー様が近年増加しています。
今回は、このような相続物件を長期保有しながら収益化するためのリノベーション事例をご紹介します。
この事例では、オーナー様の思い入れのある物件に、新たな価値を付与し、賃貸化に成功した方法をご覧いただけます。
目次
1.相続物件の現状
ご両親やご家族から受け継いだ大切な物件は、多くの方が「売却」か「賃貸化」で迷われる方が多いです。特に、愛着のある家や土地を「手放したくない」という思いは、大きな判断材料となります。
賃貸化がもたらす「感情的な価値」と「収益」の両立
相続物件を売却する最大のメリットは、「すぐに現金化できる」ことと、「固定資産税や維持管理費の負担をなくせる」ことです。しかし、一度手放すと二度と買い戻すことはできません。
そこで今、注目されているのが「賃貸化」という選択です。
- 継続収入の確保: 毎月の家賃収入でローンの返済やランニングコストを賄い、安定した副収入を得ることができます。
- 将来的な選択肢の維持: 物件の所有権を残すことで、数年後にご自身やご家族が住み直すという選択肢を残せます。
- 想いを繋ぐ: 思い出が詰まった家を空き家にせず、大切に使ってくれる新しい入居者に「住まい」として引き継ぐことができます。
しかし、賃貸化を決断しても築年数の経った物件はそのままでは入居者に選ばれません。そこで必要となるのが、競争力を高める、現代の入居者ニーズに合わせたリノベーションです。
グッドルームでは、賃貸経営が初めてのオーナー様の不安を解消するため、「賃料査定・間取り提案・施工・入居者募集」までを一気通貫でサポートしています。これにより、オーナー様は煩雑な手続きに悩むことなく、大切な物件を「収益を生む資産」として価値を向上させることができます。
>>関連コラム「実家を相続したらどうする?売却か賃貸化で迷う空き家の有効活用術」
2.事例のご紹介
オーナー様のお悩み
実際に相続された戸建てをリノベーションし、賃貸化した事例をご紹介いたします。
ご両親が住まわれていた物件を相続されたオーナー様。ご自身は遠方にお住まいのため、物件は約3年間遊休状態でした。
- 京都市の空き家税増税など、維持管理・税の負担があった
- 賃貸経営は初めてのため、何から手を付ければいいかわからない
- オーナー様ご自身は関東にお住まいのため、リノベーションの進行状況を頻繁にご確認いただくのが難しい
といったお悩みを抱えていらっしゃいました。
京都市では空き家の活用促進のために、2029年度から「空き家税(法定外税)」が導入される予定です。
これにより、使われていない空き家に課税される可能性が高まり、不動産オーナー様の間で注目が集まっています。
京都市で導入予定の「空き家税」とは
京都市が2026年度から導入予定の「非居住住宅利活用促進税」、通称「空き家税」は、長期間活用されていない住宅に対して独自に課税する制度です。
- 対象物件:1年以上使用されていない非居住住宅
- 課税額:固定資産税に上乗せ(例:年数万円~十数万円)
- 目的:景観・治安対策、住宅ストックの有効活用
>>関連コラム「【空き家所有のオーナー様必見】他人事ではない?2029年に京都市で導入発表の空き家税とは」
◆なぜ導入されるのか
- 手頃な住宅を求めて若年層や子育て世帯が市街に流出しており、都市の存続が懸念されている
- 空き家・別荘・セカウンドハウスなどの非居住住宅は防災や防犯面で懸念を生じさせ、地域コミュニティの活力も低下させている
放置されている空き家に対して、「使わないなら税金をかける」という方針が明確に打ち出されており、今後は空き家を所有しているだけでコストが発生する時代に入っていきます。
参照:京都市情報館「非居住住宅利活用促進税について<令和11年度課税開始予定>>
◆空き家の活用方法:リノベーションをして賃貸化する
グッドルームでは、空き家の賃貸化による活用をご提案しています。
空き家税の対象とならないためには、「実際に人が住んでいる」「事業として使っている」といった利用実態を示すことが有効なため、思い出のあるご実家や相続された建物を、売却や取り壊しではなく活用しながら保有していきたいとお考えの方におすすめしています。
今回の事例は、ご両親が住まわれていた思い入れのある元ご自宅。オーナー様は、建て替えるのではなく、物件はそのままに価値を向上させるリノベーションをご決意されました。
まずは、戸建て物件をリノベーションすることで得られるメリットについてご紹介します。
戸建てリノベーションのポイント
戸建てのリノベーションは、マンションやアパートと比べて間取りの自由度が高く、オーナー様の「想い」と「収益」を両立させやすいのが最大のメリットです。
具体的に、
- 集合住宅よりも、自由に間取り変更がしやすい
- 戸建ての賃貸物件は珍しく、周辺物件と差別化ができる
- 入居者層が広がる
といったメリットがあり、賃料の上限も上がるため収益物件へと生まれ変わらせることができます。
\戸建て物件のリノベーション事例をご紹介/
3.リノベーション内容
リノベーション効果を最大限化するために、間取り変更をはじめ、内装の差別化を図る様々な工夫を施しました。
①間取り変更

(左:リノベーション前 右:リノベーション後)
1階はキッチンの位置と階段下の収納スペースを変更。
2階はトイレのあるスペースをクローゼットに、更に寝室の間取りを変更しました。
戸建てのリノベーションは、集合住宅と比較して構造上の制約が少ない点が特長です。
そのため、オーナー様のご要望や市場の最新ニーズに基づき、柔軟かつ実用的な間取りの変更を行うことができます。
②対面式キッチン
(左:リノベーション前 右:リノベーション後)
リノベーションにおいて、キッチンは入居者層を問わず重要視される設備の一つです。来客の際にもコミュニケーションをとりながら料理ができ、開放感も生まれるカウンターキッチンは世代を問わず人気の設備です。特に近年人気の高い対面式キッチンには、以下の特長とメリットがあります。
- リビング全体を見渡しながら料理ができるため、ファミリー層に特に人気。子育て世代にとっては、お子様の様子を見守りながら作業ができる安心感がある
- 視覚的に広がりを感じさせ、キッチン自体がインテリアの一部として映る
この事例では、壁付けのキッチンから対面式のキッチンに変更することで、明るく開放感のある、リビングダイニングになりました。
③ヌックの新設
(左:リノベーション前 右:リノベーション後)
戸建て物件の階段下やデッドスペースは、ともすればただの収納になりがちですが、この事例では空間の付加価値を最大化するために「ヌック(Nook)」を新設しました。
ヌックとは?
「ヌック」とは、もともと英語で「隠れ家」や「隅っこ」を意味し、家の中にあるこじんまりとした居心地の良い小空間を指します。
あえて空間を囲うことで、秘密基地のような安心感と特別感が生まれるのが特徴です。
◆ヌックを設置するメリット
戸建てリノベーションでヌックを設けることは、以下のメリットをもたらします。
- 最大の差別化ポイントとなる: 戸建てならではの自由な間取りを活かした空間デザインであり、入居者にとって魅力的な差別化ポイントに
- 空間に「遊び心」と「安らぎ」をプラス: 本を読んだり、一人で静かにリラックスしたり、仕事の気分転換をしたりと、多目的に利用できる「サードプレイス」として機能する
この事例では、ヌックに琉球畳を採用し、アーチ状の開口部を設けました。畳の香りと相まって落ち着きのある和モダンな空間に。オーナー様の「秘密基地のようなものが好き」というご要望を具現化し、このヌックが、物件の最大の差別化ポイントとなりました。
\戸建て物件のリノベーション事例をご紹介/
④スクリーンパーテーション
(左:リノベーション前 右:リノベーション後)
2階の寝室は、元々「居室+ウォークイン収納」という構成でした。この収納スペースをなくし、空間を最大限に広げることで、物件の魅力である「鴨川の景観」を最大限に活かすことができます。
◆スクリーンパーティション(可動間仕切り)による柔軟な空間
- 採光と解放感の向上: 仕切っている時でも光を取り込み、開放感のある居室を実現
- 用途の柔軟性: 広いワンルームとして利用したり、生活時間帯に応じて空間を区切ったりと、柔軟に空間を利用することが可能。多様な使い方ができ、入居者層が広がる
この物件では、部屋を仕切っていた壁を取り払い、代わりにスクリーンパーテーション(可動間仕切り)を導入しました。
物件の魅力である景観の良さを活かしながらも、入居者様のライフスタイルや季節の変化に合わせて幅広くお使いいただける空間を実現。
⑤ウォークインクローゼットの新設
(左:リノベーション前 右:リノベーション後)
ウォークインクローゼットは、広々とした収納スペースを提供するだけでなく、入居者様にとって魅力的な差別化ポイントとなります。衣類や季節物をまとめて収納できるため、居室を広々と使えます。収納力を重視する入居者様への強力な訴求となります。
この事例では、コの字型のウォークインクローゼットを新設することで、収納スペースを確保しました。
⑥造作デスクの設置
(左:リノベーション前 右:リノベーション後)
戸建てリノベーションでは、階段下などのデッドスペースが生まれがちです。
造作デスクは、デッドスペースを書斎やワークスペースとして機能させることができます。また、既製品ではなく、空間にフィットする造作家具のため、高いデザイン性と統一感が生まれます。
造作デスクは、仕事や趣味のスペースとして活用できるため、生活にメリハリをつけたい入居者様に人気の高い設備です。この物件では、ウォークインクローゼットの隣に造作デスクを設置し、空間を有効活用しました。
⑦外構
(左:リノベーション前 右:リノベーション後)
戸建て物件の印象を大きく左右する外構ですが、この事例では「活かす部分」と「変える部分」を明確に分けました。
◆外構のリノベーションポイント
- 自転車置き場を新設: 既存の門を撤去し、空いたスペースに入居者様用の駐輪場を新設。賃貸物件として求められる要素を強化
- デザインポストに交換: タイルを張り替えるとともに、古くなった門灯を新しいデザインポストに交換することで明るく清潔感のある印象を与える
- 外壁・屋根は既存活用: 費用が高額になりがちな外壁と屋根は、状態が良好だったためそのまま残し、コストを大幅に削減
外観の印象に関わる部分のみを絞ってリノベーションすることで、費用を抑えつつ、メリハリのあるリノベーションを実現しました。
4.リノベーションの効果
リノベーションの結果、オーナー様は「売却しない」というご両親の遺言を守りつつ、遊休資産を収益を生む物件として再生させることに成功されました。
新しい入居者を迎えることで、空き家による維持管理費や税の負担を解消。水回りや基盤設備を一新したことで、今後も安心して長期保有できる環境が整いました。
また、「ヌック」や「無垢材の階段」といった戸建てならではのデザインを採用したことで、物件の魅力を最大限に引き上げました。結果、賃料16万円で入居申込みを獲得し、同条件の周辺物件と比べても高い賃料での成約に繋がりました。
今回は、愛着ある相続物件の「想い」と「収益」を両立させた戸建てリノベーション事例をご紹介しました。
グッドルームでは、賃貸経営が初めてのオーナー様、また相続物件の活用に悩むオーナー様に向けて、その土地や建物の価値を最大化するリノベーションをご提案しています。
大切な物件の利活用や収益化でお困りのオーナー様は、ぜひ一度ご相談ください。