リノベーションを検討しているオーナー様に向けて、仲介現場の最前線から「今、入居者がお部屋探しで重視しているポイント」をお届けする本コラム。
前回2023年のインタビューから2年。賃料相場の変動やライフスタイルの定着を経て、お部屋探しのトレンドはどう進化したのでしょうか。 現在のgoodroom 渋谷店 店長・岡部へ、アフターコロナが完全に定着した2026年現在の「お部屋探しのリアル」を聞きました。

TOMOS渋谷店 店長
岡部 一紀(おかべ かずき)
お部屋探しの手順:内見時には「すでに8割」決まっている?
ーー2023年時点では「お部屋探しのオンライン化」が話題でしたが、2026年現在、お客様の動きに変化はありますか?
はい。最大の変化は、お客様が「内見に来る前に、すでに心の中で8割がた決めている」という点です。今はネット上の写真や動画、SNSの情報が非常に充実しています。お客様は事前にお部屋を徹底的に比較検討し、納得した上で「この物件を確認しに行く」というスタンスで内見に臨まれます。
ーー最初からピンポイントで狙いを定めてくるわけですね。
その通りです。以前のように店舗へ来店して一から探すという方は減り、現地待ち合わせでのご案内が主流になりました。また、SNSや動画で直感的に「この暮らしがいい!」と感じた物件を指名検索されるケースも増えています。そのため、情報の透明性や、パッと見て暮らしがイメージできる写真映えの重要性は高まっていますね。
築年数は「数字」ではなく「中身」で判断する時代へ
ーーオーナー様が気にされる「築年数」ですが、最近のお部屋探しの傾向をより詳しく教えてください。
正直に申し上げますと、今の賃貸市場は全体的に賃料が高騰しています。そのため、以前と同じ予算で『駅チカ・築浅・広め』といった希望通りのスペックでお部屋を探そうとすると、まず見つからないという現実に直面し、苦戦されるお客様が非常に多いんです。
そこで、お客様はどうしても『どこを妥協するか』という選択を迫られます。その際、最も許容されやすいのが「築年数」なんです。
以前は「築20年以内」といった数字の条件で機械的に絞り込む方が多かったのですが、今は「エリアや広さは譲れないけれど、中さえ綺麗であれば築年数は問わない」という考え方が一般的になりました。
リノベーション物件であれば、築年数が30年、40年経っていても、中身が新築同様にアップデートされていれば、お客様は数字を気にせず「ここがいい!」と決断されます。
そして、ここが私たちの運営するお部屋探しサイト「goodroom」の最大のメリットでもあります。
一般的な大手ポータルサイトでは、まず最初に「築年数10年以内」といったフィルターで検索をかけられてしまうため、どんなに素敵にリノベーションしたお部屋でも、検索結果にすら表示されないということが起こります。
しかし、goodroomのサイトには「築年数から探す」という検索項目をあえて作っていません。
goodroomユーザー様は最初からおしゃれなリノベーションや無垢床といった、お部屋の雰囲気や内装のクオリティを軸に探されています。
数字という先入観を通さず、まずは写真から伝わる「中身の良さ」で選んでいただける。だからこそ、築古物件であっても、リノベーションによって中身を磨き上げれば、築浅物件と対等に、あるいはそれ以上に戦えるようになるんです。
物件掲載にあたっては、専門スタッフが現地を丁寧に取材。豊富な写真とともに、お部屋の魅力を最大限に引き出した紹介記事を作成し、入居者様とのマッチングをサポートいたします。
「生活のしやすさ」と「水回り」を重視
ーー今、入居者様に求められている物件はどのようなものなのでしょうか?
一時期の「デザイナーズでかっこいい」というデザイン性重視の傾向から、現在は「動線が良くて生活しやすい」という実用性重視へシフトしています。特に以下のポイントは厳しくチェックされますね。
- ①水回りの清潔感、独立洗面台
- ②レイアウトのしやすさ
- ③2口以上のコンロ
まず、最も重要視されるのは水回りの清潔感ですね。単に綺麗というだけでなく、独立洗面台があるか、脱衣所として使えるスペースがあるか、といった実用面をシビアに見られています。
次に大切なのが「レイアウトのしやすさ」です。内見の際、私たちは入居者様がお持ちの家具の大きさを伺いながら、一緒に配置イメージを組み立てます。その際、いくらデザインが良くても、生活動線がバラバラになってしまう間取りは敬遠されがちです。
あとは、意外と見落とせないのがコンセントの数ですね。今のライフスタイルでは家電やガジェットが多いので、配置の自由度を左右するポイントになります。また、自炊をされる方が増えている今、2口コンロも欠かせない条件として真っ先に挙がりますね。
リノベーション例
■背景

(左:リノベーション前 右:リノベーション後)
三角形の間取りが特徴的で、都心からのアクセスは良いものの、入居者が決まらずにリーシングに苦戦されていました。
■リノベーション内容

(左:リノベーション前 右:リノベーション後)
お部屋のデッドスペースとなりがちだった変形部分を活かし、ウォークインクローゼットとして活用。アクセントクロスを施すことで、お部屋のポイントへと昇華させました。また、入居様の懸念となりやすい3点ユニットバスは分離し、独立洗面台とシャワーブースを新設しました。
結果、賃料2.5万円アップで入居申込みを獲得。変形間取りという課題を克服し、競争力を持つ物件へと生まれ変わりました。
ーー反対に、避けられがちな条件はありますか?
やはり3点ユニットバスは、今の若年層からは非常に敬遠されますね。2点ユニットバスも選ばれにくい設備になってきました。都心エリアなどでは、あえて浴槽をなくし、その分「独立洗面台」を新設したり居住スペースを広げたりすることで、成約率を劇的に上げる戦略も有効です。
とはいえ、広さの関係でバス・トイレ別にするのが難しい物件もあります、そこでおすすめしたいのが、シャワーブースへの変更を伴うリノベーションです。いきなりシャワーブースと聞くと「浴槽がなくて大丈夫?」と不安になるオーナー様も多いのですが、実は古い3点ユニットバスよりも、最新のシャワーブース+独立洗面台の方が、リーシング(客付け)が早い印象です。特に都心の狭小物件(ワンルームなど)では、限られたスペースをどう配分するかが重要です。シャワーブースを導入することで、2つメリットがあります。
- 居住スペースの確保: 浴槽をなくした分、居室を広く、あるいは収納を増やせる
- 独立洗面台の設置: シャワーブースにすることで生まれたスペースに、しっかりとした洗面台を置ける
特に、独立洗面台は3点ユニットバスの物件に対して非常に強力な差別化ポイントになります。
ーーつまり、リノベーションをするなら、まずは水回りのレイアウト変更から検討すべきということですね。
はい。水回りに経年劣化や汚れが目立ったり、3点ユニットのままだと、その時点で検索候補から外されてしまうリスクが高いです。
逆に、水回りを現代のニーズ(独立洗面台・清潔感・脱衣スペース)に合わせてリノベーションすれば、築年数が古くても、周辺の築浅物件に負けない競争力を手に入れることができます。空室期間を短縮し、長期的に安定した経営を目指すなら、水回りへの投資は最も費用対効果が高いと言えますね。
リノベーション例
■背景

(左:リノベーション前 右:リノベーション後)
築37年、18㎡の狭小1Rを所有されているオーナー様。好立地を生かして賃料アップを目指したいものの、1口コンロや3点ユニットバスといった設備がリーシング時の懸念点となっていました。
■リノベーション内容

(左:リノベーション前 右:リノベーション後)
壁付けだった一口コンロのキッチンは、対面式の二口コンロに変更し、周辺物件との差別化に。入居者様に敬遠されがちな3点ユニットバスは分離し、独立洗面台とシャワーブースを新設しました。
結果、賃料1.8万円アップで入居申込みに成功しました。
繁忙期を過ぎても決まる?2026年、お部屋探しの最新事情
ーー間もなく賃貸市場の繁忙期にかかりますが、最近の繫忙期の動きはどのようになっているのでしょうか?
現在、繫忙期でお部屋をされるお客様は「時期重視」と「質重視」の2つに大きく分けられます。
- ①3月までに決めたい「期限重視」層
- ②納得いくまで探す「こだわり重視」層
①の「期限重視」層は、学生さんや新社会人の方が多いですね。4月の新生活に間に合わせるため、3月中にスピード優先で決める動きをされます。
②「こだわり重視」層 社会人2年目以降の方や、今の家を更新せずに住み替えたい方ですね。繁忙期を過ぎてからでも、納得のいく物件が見つかるまでじっくり探されます。 特にgoodroomのユーザー様は、後者の「自分らしい暮らしがしたい」というこだわりを持った方が多いため、良いお部屋であれば時期を問わず成約に繋がります。
「3月を逃すと空室が続く」と焦る必要はありません。 納期を優先してリノベーションの質を落とすよりも、「こだわり層」が納得するクオリティを追求すること。それが、時期に左右されず、長く住んでくれる入居者様に出会える一番の近道です。
ーー繁忙期を過ぎても「こだわり層」はじっくり探すというお話でしたが、これは最近特に顕著になってきた傾向なのでしょうか?
そうですね。以前からも多少はありましたが、ここ数年で「時期を問わず、良いものは出た瞬間にすぐ埋まる」という流れが圧倒的に加速しています。正直、これまでの「4月を逃すと秋まで空室」という賃貸経営の常識は、もう通用しなくなっていると感じます。
ーーなぜ、そこまで時期を問わない動きに変わってきたのでしょうか?
背景には、入居者様の心理と市場環境の大きな変化が3つあります。
- 「先行申込(内見レス)」の一般化
今は、良い部屋はすぐ埋まるという危機感がユーザーの間で定着しています。そのため、内見せずに入居を申し込む(先行申込)ことが当たり前になりました。こだわりが強い層ほど、理想のスペックが出た瞬間に、月を問わず即座に動く。このスピード感が通年での高稼働を支えています。 - 新築供給の減少と「中古リノベ」へのシフト
建築コストの高騰により、新築物件の供給が過去最低水準にまで落ち込んでいます。そうなると、新しさを求める層が自然と「デザインやコンセプトの尖ったリノベーション物件」を狙い撃ちで探すようになります。新築というライバルが減ったことで、質の高いリノベーション物件は時期を問わず常に争奪戦の状態です。 - 「更新」に縛られない、ライフスタイル優先の住み替え
以前は2年更新が引越しのきっかけでしたが、今はリモートワークの定着などで「自分が今、心地よい空間に住めているか」を最優先する人が増えました。あえて引越代が高い3月前後を避け、4〜6月や10〜11月の落ち着いた時期に、納得のいくお部屋をじっくり探して賢く住み替える。そんなスマートな動きが、今のトレンドです。
まとめ
物件を所有されているオーナー様にとって、築年数の経過や家賃相場の変動は不安要素かもしれません。しかし、仲介現場の最前線から見えるのは、「築年数が古くても、中身が今のニーズに合っていれば、新築以上に支持される」というポジティブな現実です。
賃貸リノベーションは、築年数の経過した物件でも、魅力や収益性を高めるための有効な選択肢です。
特に、物件の立地や間取り、建物の特性に合わせて、適切なターゲット層を見極めたリノベーションを行うことで、空室期間の短縮や賃料アップにもつながります。
ホームページでは、これまで手がけてきた100室以上のリノベーション施工事例を写真付きでご紹介しています。実際にどのような改善が収益につながったのか、具体的なイメージを持っていただける内容となっておりますので、ぜひオーナー様の今後のご参考にしていただければ幸いです。
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